「72の法則」というのは有名だと思う。
利率が r(単位は%)の時、元利合計が2倍になる期間の概算値を求めるには 72 を r で割ればよいというもの。
例えば年利が 5% の時、元利合計が2倍になる期間はだいたい 72÷5=14.4年 ですよ、というもの。
DIAMONDオンラインの「資産を100倍にする超シンプルな数学」という記事には「72の法則」よりももっと精度が高い計算式として「エックハルト=マクヘイルの二次法則」というのが紹介されていた。
「エックハルト=マクヘイルの二次法則」というのはいろいろとググってみたのだが、ちゃんとした記述が見つけられなかった。有名な式なのかなあ?
気になったのは、
また、分数の分子として72の代わりに69か70を使うほうが実際には精度が高いということもわかっている。昔から72が使われてきたのは、割り切れる数がたくさんあるからだ。
という記述。
ほんとかな、と思い精度の比較をしてみた。
横軸を利率(単位は%)、縦軸を正しい解析解からのズレ(相対誤差。単位は%)でグラフにしてみた。分子を72にした場合、70にした場合、「エックハルト=マクヘイルの二次法則」の3つを比較している。
この図を見ると「エックハルト=マクヘイルの二次法則」の式(紫)の精度の高さに驚く。簡単な式であるにも関わらず、利率20%の時でも誤差は1.3%ほどである。実用上は全く問題ないだろう。
分子が72の時と70の時はどっちがいいだろう? 利率が4%以下の低金利の場合であれば分子を70にする方が精度が高い。ただし5%以上の金利になると72にした方が精度が高い。
「年利1%だと2倍になるのに70年かかります、てへっ」と計算できても実用的な意味はほとんどないだろう。
やはり2倍になる期間が気になるのは5%あるいはそれ以上の金利(あるいは運用益)の場合だろうから、そうすると分子は72の方が良さそう。(なお、年利20%の時、解析解だと3.8年であるが、「72の法則」で計算すると3.6年となる。誤差は0.2年=2か月強でありそんなに大きな誤差ではない。普通は「72の法則」で十分だろう)
【結論】
「エックハルト=マクヘイルの二次法則」はかなり高精度な近似式。
「72の法則」を使うなら「72」がお勧め。「70」は推奨しかねる。