全然違う件でググっていて偶然見つけたサイト。
経済界は早期の原発再稼働による安定電力供給を願っていますね。
「それじゃ、工業界などはどのくらい電気を欲しているのか?」を表す面白い数字を見つけました。工業界でも最も経済をけん引して影響力があるのは自動車生産です。
その自動車で、最近とみに多く使用されるようになってきたのがアルミニウムと言う金属で、現在の自動車には平均で1台あたり200㎏のアルミニウム部品が使用されるそうです。さてそこで、そのアルミニウムを1トン(=1000kg)作るにはどのくらいの電力量が必要か、知っていますでしょうか?
なんと、日本の一般家庭全戸数(約 5,400万世帯)が使用する電気の12日分の電力量が必要とされるそうです。
へえ、そりゃすごいね~
と、なるはずがない。
この記述が本当だとしたら、自動車1台を作るのに最低でも一般家庭全戸数の2.4日分(1tで12日なので、200kgだとその1/5の2.4日)の電気代が必要なはず(一般家庭用と産業用の電気料金の違いはあるけど)。しかし、いくらなんでも車1台はそこまで高くないよ?
ということで見積もってみた。
アルミを作るには、ボーキサイトから作る場合と、リサイクルで作る場合とで、必要な電気の量は全然違うらしいのだが、ここでは電気の量を多めに見積もるためにボーキサイトから作ることにしよう。
日本軽金属(株)の橋本さんによると、アルミ1kgを作るのに必要な電力はおよそ15kWhだそうだ。(橋本義介 「アルミ精錬のサムライたち」 http://sokeizai.or.jp/japanese/publish/200706/200803hashimoto.pdf) アルミ1tならその1000倍なので15,000kWh。
https://www.ene100.jp/zumen/1-2-13 によると、2015年の1世帯あたりの1か月の平均電力は248kWhくらい。1日あたりにすると、8.2kWhくらい。
https://www.stat.go.jp/info/today/106.html によると、2015年(平成27年)の全国の世帯数は5340万3千世帯。
なので、全国の一般家庭で使う電力は1日あたり 8.2 × 53,403,000 = 440,000,000 kWh(4.4億kWh) である。
1年間だと 160,000,000,000 kWh (1600億kWh)となる。
一方、https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019html/2-1-4.html によると1年間の「家庭」での電力量は3000億kWhとなっていて、2倍近くもずれてしまった。
定義が異なるのかなあ? まあ、いいや。1日4.4億kWhとしよう。
そうすると、アルミ1tを作るには 15,000 ÷ 4.4億 = 0.000034日 となる。
つまり、アルミ1tを作るには、日本の一般家庭全戸の0.000034日(2.9秒)の電力量が必要である。
うーん、どこから12日という数字が出たんだろう? 桁が違いすぎるのだが…
また、車1台分の200kgのアルミ(ここは裏をとっていません)を作るには 15 × 200 = 3000kWh の電力が必要。お金に換算すると6万円くらいか。うん。これは違和感のない数字だと思う。
さらに、
言い換えれば日本全国の家庭で電気使用を12日間完全に止めても、自動車たったの5台分くらいのアルミニウム生産の電力量にしかならないということです。
(略)
冷暖房や家電成否をいくら使おうが、家庭での電気消費量と言うのはそれぐらい少ないということです。
(略)
そう考えると、家庭での涙ぐましい節電がちょっと悲しい気もしますね。
というのも大きな誤解で、https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019html/2-1-4.html によると「家庭」で使われる電力は全体の28%程度にもなっている。つまり、「家庭」での節電は全国の電力使用量に対して無視できないであろうことが推測できる。