矢野徹訳 ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」

気がついた点。
ハヤカワ文庫SF新装版 三刷(2012年9月25日)より。

P.500
矢野訳:「わしらに勝ち目がないという率は、いまやたったの十七にひとつになったよ……」
原文:"The odds against us are now only seventeen to one and they've been shortening all month."
(おそらく)正しい解釈:わしらに対するオッズ(配当)が17倍、つまり勝つ率は十七にひとつで、勝ち目がない率は十七中の十六。

P.600
矢野訳:「命中までにあるわずか三・五七かける十の九ミリセカンド乗なんだ……」
原文:"It is now only three point five seven times ten to the ninth microseconds until impact..."
(おそらく)正しい解釈:命中までには三・五七かける十の九乗マイクロセカンド。つまり3570秒だから約1時間。8時頃になされた会話であり、衝突する予定時刻は9時なので、原文は辻褄があっている。

【補足】
細かいことを言うと英語でoddsが17 to 1という時の17には普通は元金は含まれない。例えば100円賭けたとすると1700円の配当があり、元手と合わせると100円が1800円になるという状況のこと。なので正しい勝率は1/17ではなくて1/18だろう。

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